
内政系の異世界転生ものが読みたいお!

そんなお前におすすめなのが◆BSVL8zPtdg氏の作品

「ドクオが異世界転生したようです」だ
世界観と設定

この作品は中世ヨーロッパ風の社会に「錬金術」と「魔法」という現実とは異なる技術体系が加わるというファンタジー要素の強い世界観を舞台としている

そんな異世界に現実で重傷を負い、死にかけのドクオがチート能力を与えられて伯爵家の一人息子として転生するという話だ

ここまでの話だけを聞くと、何の変哲もない「異世界転生作品」って感じだお
チートと現代知識はあまり使わない

だが「チート能力や現代知識をフル活用して大活躍!」といった展開を期待する読者にはこの作品はおすすめしない

それはまたどういう事だお?

ドクオは自らに与えられたチート能力を自覚していない上に、現代日本で得た知識を流用するといった描写もほとんどないからだろ

それに加えてドクオ自身には肉体的に特別優れた要素は無く、ファンタジー作品として見ても戦闘描写はかなり少ない

どちらかと言うと前世で培った人生経験をもとににドクオが円滑な人間関係を構築して領地経営に活かしていく様子を描いた作品だと言える
もう一人の転生者

しかし、ドクオと同じ世界から一緒に転生してきた「もう一人の転生者」の存在が明らかになるにつれて少しずつ物語の方向性が変化していく。

先にも触れたいわゆる「チート能力や現代知識をフル活用して大活躍!」をテーマにした作品へのアンチテーゼのようなキャラで「もう一人の転生者」はドクオとは対照的に、極めて自分本位で幼稚な性格の持ち主だろ

チート能力で傍若無人な振る舞いをしたり、「オセロ」等の再現難易度の低い発明を我が物顔で世に出して名声を獲得するなどの行動の数々で読者のヘイトを一身に背負いまくるんだ

聞いてるだけでも調子に乗った「現代の若者」って感じが伝わるお

実際、転生後の世界をまるで「ゲームをプレイ」しているような感覚で捉えている発言も非常に多い

そういう訳で、もしかしたら序盤のゆったりとした雰囲気を好む読者には気分を害させるキャラかもしれんだろ

しかし慣れてくると「もう一人の転生者」のあまりにも斜め上を行く思考回路に対して、次第に「どこまで突き抜けてくれるのだろうか」という不思議な期待感すら覚えてくるんだ

ともすればドクオの安定しすぎているが故のストーリー的な退屈さを払拭する舞台装置として非常に優秀な役割を果たしてくれるキャラクターであり、この横暴な態度がどのような形で本人に返っていくのかというカタルシス展開への期待を非常に煽ってくれる。
魅力的なキャラクターたち

また異世界転生ものでは主人公の異彩ぶりを際立たせるために周囲の人間の知性をあえて低くするような雑なキャラ配置をするような事も往々にしてあると思う

確かによくそういう作品は見るお

ちょっと考えれば誰でも分かりそうなことを主人公が「現代知識」として見せつけて、周りが大騒ぎするっていう展開だお

まぁ物語の盛り上がりの為に少なからずそういう要素が必要なのは分かるが、度が過ぎると正直見ていて萎えるよな…

だがこの作品では家族や友人、その他の細かなキャラクターについても感情移入できるように細かな作りこみがしてあるのが印象的だろ

無条件に主人公を褒め称えるような展開も無いから、読んでいて首をひねるような感覚もない

父親のオルガや、その護衛のミカ。魔導士の少女『明星』、エルフの剣士ユウキをはじめとした魅力的なキャラが多く、是非おすすめしたい作品だろ
最後に
- 地道な努力をする異世界転生ファンタジー
- 物語にスパイスを与える「もう一人の転生者」
- 公平な目線の登場人物