虎よ!虎よ!

SFを題材にしたオススメのやる夫スレを教えてくれお!

そんなお前におすすめなのが◆9Tv6L8TsrQ氏の作品

「虎よ! 虎よ!」だろ!
ガリヴァー・フォイル(やらない夫)とは

「虎よ!虎よ!」はアルフレッド・べスター著のSF小説「Tiger! Tiger!」(邦題 虎よ 虎よ)を原作にした作品だ

宇宙船乗組員ガリヴァー・フォイル(やらない夫)は航海中のアクシデントにより彼を除く全乗組員は死亡し、広大な宇宙で漂流生活を余儀なくされるのであった

広大な宇宙にただ一人、取り残されたガリヴァー・フォイルの唯一つの心の支えは船内で見つけた玩具の人形だった。ふとした時にはこの人形に話しかける事で孤独と絶望を紛らわせていた

いい年した大人が人形に語り掛ける程追い詰められるなんて、想像もつかない程辛そうだお

そんなガリヴァーにも転機が訪れる

友軍の輸送艇「ヴォーガ」の接近に気が付いたガリヴァーは必死の思いで救難信号を発信した

過酷な宇宙漂流生活から生還できるお!

しかし輸送艇「ヴォーガ」は彼を救うことなく見捨ててその場を去って行った

味方の船じゃなかったのかお?!なんでガリヴァーを見捨てるんだお?

何かしらの事情が有ったのか、もしくは単純に気づいていなかったのか。それは読み進めていくことで明らかになる事だ

ともかく、無知蒙昧であったガリヴァーはこの瞬間に死に、「ヴォーガ」への復讐心に取りつかれた野獣へと変貌を遂げることになった
復讐に身を捧げる人生

その後「ヴォーガ」への復讐のみを糧にガリヴァーは独力で船を動かす事に成功するも、科学的野蛮人「サイバリアン」によって捕らえられたガリヴァーは虎のような入れ墨を顔に刻まれる

「サイバリアン」たちは、広大な宇宙を生き抜くガリヴァーの強い遺伝子を目的をとして妻を宛がい、永住を要求するも、ガリヴァーはこれを拒否して彼らの小惑星を破壊して脱出、見事地球への帰還を果たす

物凄いバイタリティだお

故郷に戻ったガリヴァーは「ヴォーガ」と、それを所有するクリスタイン財団への復讐に向けて本格的に活動を始めるのであった

これだけ大変な人生で、ようやく平穏を掴めたのにガリヴァーの頭の中は「ヴォーガへの復讐」しか無いのかお

物語序盤のガリヴァーは頑丈な身体以外なんの取り得も無い男だったが、復讐を原動力とした向上心は凄まじいモノで、次第に彼の復讐は現実味を帯びてくるようになる

復讐の過程で得た知性や戦闘力は最早並大抵のレベルではなく、それらを自らの為に使えば、確実に幸福な人生を歩めたはずだろ

だけどヴォーガへの強い執着心が有ったからこそ、それ程の力を得ることができた訳だお

自らの目的の為には手段を一切選ばないガリヴァーの性格は、苛烈そのものであり、普通の人間には共感しがたいものだが、物語のテーマは「盲目的な復讐」を一貫しており、ある意味ではシンプルな内容とも言える
ジョウント効果とは?

ここで改めて「虎よ!虎よ!」を語るうえで外せない、ジョウント効果について解説しよう

ジョウント効果とは、精神の力によって別の場所に瞬間移動をすることだ

要するに瞬間移動能力ってことだお

この能力の発見のきっかけは、とある科学者が実験の最中に生命の危機に瀕した時に偶然、瞬間移動を成功させたことによるものだ

そして、恐ろしい人体実験を重ねた末に人類はついに訓練次第でジョウント効果を任意に発動させることが可能になった

また、ジョウントの際には現在の場所と移動先の場所を正確に思い浮かべ、精神を集中させないといけない

じゃあ、自分が今どこにいるのか良くわからない時には使えないのかお

それに加え、知らない場所にジョウントするときや、集中が難しい場合などもジョウントすることはできないといった制約もある

そんな制約が有ったとしても、誰彼かまわず瞬間移動ができるようになったら世の中大混乱だお?

あぁ、ジョウント効果によって得た利便性の代償として、社会には大混乱が巻き起こり、人類が入植した惑星間の戦争にまで発展することになった

この様な、超常的な能力が社会に根差しているといった独特な要素もまた作品への深みを与えていると言えるだろ
最後に

本作の元となった原作小説はオールタイムベストSF部門において常に上位にあげられるほどのベストセラーであり、その原作の魅力を巧みなAA表現により存分に反映させている

それに加えて、原作の元ネタでもある「巌窟王」の日本アニメ版の主人公「モンテ・クリスト伯」を、あえて宿敵として配役するといった小ネタも非常に皮肉が利いていて粋なアイデアだろ

やる夫スレにおいては、タイトルから物語の内容が想像しづらい事はマイナス要素に働くが、この記事を読んで少しでも興味が沸いた読者が居たのならば、いい機会だから是非読んで欲しいだろ
まとめサイト様